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「どうしてそんなに食べても太らないのよ」
軽く笑いながら、京子が言った。彼女の手にはコーンのバニラアイスが握られている。にこにこしながら見つめる先には三段重ねのアイスをなめている少女、美香。美香は困ったように、やっぱり笑いながら、
「なんでだろうね、うける」
と答えた。体質じゃないかな、と控えめにつぶやくのは沙紀で、こちらも京子と同じく一段だけのバニラアイスをなめている。
この寒いのに、「アイスを食べに行こう、今日は割引の日だから」そう言いだしたのは京子だった。すぐ乗り気になったのは沙紀、その次に美香。本当は私は来たくなかった。アイスなんか別に食べたくない。だけどそうとは言えなかった。私は三段重ねのアイスをなめながら、三人の会話を聞いている。
この気温のせいだろう、公園には私たちの他に人気はなく、向かい合わせのベンチを私たちは四人で占領していた。美香の隣に座るのは本当は嫌だったけれど、それも言いだせなかった。四人組の中でも、京子と沙紀は特に仲が良い。私と美香は二人に着いて行っているようなものだった。
美香の隣にいると、スカートからはみ出た自分の足の短さや太さがやけに気になってしまう。ふくらはぎを包む黒のソックスもはちきれんばかりで。美香のすらりと伸びた真っ白な足の美しさが私といると際立つ。つまり、そう、美香の隣にいると私の醜さが際立つのだ。
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