リボンをつけてもいいですか?

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そういえばさ、と京子が再び切り出した。 「皆、歴史のテストどうだったの?小テスト」 今日の六限目に返ってきたばかりのテストの話がしたいらしかった。その表情はさっきまでとは打って変わって憤っている。 「私今回悪くてさー」 「京子は今回も、でしょ」 沙紀が無邪気に突っ込みを入れ、京子はそちらを軽く睨んだが、まあそうね、と認めた。 「まあ確かにそう、いつも悪いんだけど。今回なんとねえ、12点だったんだよね」 50点満点の、暗記していれば済むはずの簡単なテストだったはずだけど。京子は恥じる様子もなく、それでさあと続ける。 「あのちびに怒られちゃったんだよねえ。県立を受験するなら社会科も勉強しろって」 「えー、私たちまだ二年生なのに。あのちび本当に鬱陶しいよね」 京子と沙紀の言うちびとは社会科担当の先生のことだ。身長があまり高くないけれど、とても優しくて平等でいい先生だと思う。私のようなブスにも普通に接してくれる数少ない人間だ。男の中ではこの先生とお父さんだけが私を人間扱いしてくれていると感じる。 今日のテスト返却のときだって、私の満点のテストに花丸をつけてくれていたし、「頑張っていて偉い」と褒めてくれた。今回のテスト、満点は二人だったらしい。 「美香と千代はどうだったの、テスト」 「まあまあだったかな」 私はさりげなく嘘をつく。美香がああっと声をあげた。 「アイス溶けちゃう。冬でも溶けるんだ、いそいで食べなきゃ!!」 確かに美香の手にとけたクリームがついている。私もあわてて再びアイスに口をつける。 京子も沙紀もけらけらと笑った。
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