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言われていることがなにも理解できなくて固まる私を、教室中の爆笑が包んだ。男子も女子も笑った。いつもおとなしい子たちでさえ小さく笑った。私はわけがわからないまま、一緒に笑おうとしたけれど無理だった。
リボンをつけていたのもおしゃれな髪形にしていたのも私だけじゃなかったのに。笑われたのは私だけだった。私はこの日、リボンをつけてもいい女の子とダメな女の子がいること、そして私はリボンをつけることが許されない側の女の子なんだと初めて知ったのだ。
ブスなのもデブなのも私が選んだことじゃないのに。そのはずなのに。
それから私は「女子として振る舞うこと」がとても苦手になった。高学年になって皆が持ち歩き始めた櫛や鏡。薬用のリップでさえ。お母さんが「憂鬱な日を少しでも楽しく」と作ってくれた生理用品を入れるピンク色のポーチも、タンスの奥にしまいこんで一度も持ち歩いていない。私は女子として振る舞ってはいけない人間なのだ。六年生の頃に腹痛で給食を残したら、クラスの男子に「デブって人前で食わないくせにデブなのなんで?」とにやにやしながら言われた。続けざまにほかの男子にも「ダイエットしてるの?無理無理、絶対無理。痩せてもおまえはブスなままだから無駄」そうからかわれた。
みじめだった。みじめで悲しくて悔しかった。でも、見返すために努力をする気にもなれなかった。男子たちの言うことは当たっていると思ったから。
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