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――ってことはどういうことだ。
ロボットたちは青年のDNAを認識しているはずだ。にもかかわらず、ふたつの乱暴な影をともに異物と判断した。だからこそ今、双方を寄ってたかって抑え込んでいるのだ。
つまり、両者ともあの青年ではないということだ。
では、彼はどこへ行ったというのだろう。
あのどさくさに紛れてうまく脱出したのだろうか。
それにしてもいつの間に、いったいどこから?
主である私がこんなザマで脱出を試みているというのに。
シーツが突如、張りをなくし、私は体勢を整えられぬまま落下した。
私の身体はきっと愛車のバンが受け止めてくれる。
衝撃。息が止まる。
目をあける。
机と窓枠が降ってくる。
身をひねって車のてっぺんから転落、地面に突っ伏す。
はじける机と窓枠。
私は頭をおおい、胸や腹に広がる鈍痛に耐えていた。
「あなた車は?」
「ああ、バッテリーがあがっちゃって」
「ようし、みんなそろったところで食事だ」
「やあ、こいつはうまそうだ。さ、熱いうちに食べよう」
家に帰ったのか。
いや、ちがう。
頬に触れているのは味気ないアスファルトだ。
きっと私の願望が幻影をつくり出し、眼前に広がったにちがいない。
それにしてもちょっと妙だ。
まあいい。
とにかく帰ろう、我が家へ。
目をしばたたきながらバンに乗り込む。
勢いよく発進し、机も窓枠も振り落とす。
へこんで天井の低くなった車の中で、肩をすくめて運転しながらカーラジオをつける。
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〈ウェザーマンのウェザーリポート! 明日も天気にしてやるぜ!〉
人間の仕事も今や平和を愛するこいつらが請け負うようになった。
うなりながらCDに切りかえる。『ROCK AND ROLL HERO』が車窓を震わす。アクセルを踏み込み、家路を急ぐ。
我が家に着いた途端、“正義”に行く手を阻まれた。
「ここ駐車だめだよ。来客聞いてないから。アタシ? アタシゃ守衛戦隊ガードマンとこのガードグリーンだよ」普段は犬の番をしているだけのヒーロー様が聞いてもいないことを吠えたてる。「セールスならお断りだよ」
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