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怯えて押し殺した息遣い、後退りでもしたのだろう僅かに鎖が鳴る音がした。
ライトで照らせば、両サイドにずらりと並んだ1人につきひとつの檻の中で、男女そして子供を合わせて6人、それぞれ与えられたシーツのような布に包まり、皆鎖に繋がれ暗い目をして震えていた。
長い間閉じ込められていた人間が放つ臭いはせず、牢の中も清潔に保たれている。
「彼等を痛めつけたい訳ではなく、あくまでも食べる為の存在ということか…」
後ろでジュリが忌々しげにポツリと呟いた。
食料の衛生管理は行き届いているのだ。
「ジュリの親友は居た?」
「いいえ、この辺には…」
牢は奥まで続いている。
「奥の方も見てみよう」
頷いたジュリに、頷き返せば、牢の中から、
「助けて…おねがい…」
先程見つけた人達が、制服を着て来た律やジュリを、あの男やその部下じゃないと解り、口々に助けを求め出す。
「大丈夫ですから、必ず助け出します。ですからどうか、皆さん、静かにお願いします」
裏口の見張りと、監視は倒したが、この屋敷にはダイマや部下がまだ居るのだ。
「そう言って、見捨てるつもりなんだろう!?」
興奮して怒鳴る男と、喚く女達、泣き出した子供を宥めながら、ジュリに奥も探すように指示する。
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