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暫く、社内に与えられた自分の机で、任務について報告書をまとめていた。
他の社員は任務に出たか、若しくはもう夜も遅いから帰ってしまい、部屋に一人になったおかげで静まり返っていて、余計な事を考えず仕事に集中出来、早く終わりそうだ。
別の任務から帰還した希から、報告書をまとめ終わったら部屋に来るようにと言われている。
部屋というのは、上司の中でも更に優れた成績を収めている者にのみ与えられている個室だ。
報告書作りが終わり、マナーモードにしていた携帯電話の連絡通知を見てみると、ジュリから数件、電話が入っていた。
こんなに短時間に何度も電話をかけてきてるのは珍しい。
医療班から大したことは無いと連絡を受けていたが、万が一にでも怪我が悪化したのかと心配になって電話かけ直すが、呼び出し音が鳴るばかりで電話に出ない。
後でもう一度かけ直すか、家を訪ねてみるかと電話を切ってポケットにしまったタイミングでちょうど、廊下を勢いよく走って向かって来る足音が響き渡る。
足音の持ち主によって、壊れたかもと思うほどドアは乱暴に開かれ、飛び込んで来た男は、今まさに電話をかけていた相手だった。
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