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鬼気迫る表情で大股歩きで律の所に来たジュリは、大きな手を広げ、普段では考えられないような力で律の肩を掴み、血走った目で座る律を見下ろし、珍しく地を這うような低い声を荒げて、
「あの男に話しましたかっ!?」
と聞いて来た。
「…え?あ…何?」
突然現れたジュリの様子に驚き、質問が頭に入らず、もう一度尋ね返す。
力を込めすぎて震えるジュリの指先が肩に食い込んで痛い。
「俺の親友が居なくなった話しを、あの男に話しましたかっ?」
「希さんに…ってこと?」
一瞬、話してしまった事を言うべきか迷ったが、ジュリの只事ではない様子に、
「すみません…、話しました」
正直に答えた。
ジュリは現れた時の顔色より更に血の気が引いた顔をして、痺れるほどの痛みが残るくらい力を込めていたのが嘘みたく、律の肩からスッと手を引いて、踵を返して走り出した。
行き先はおそらく、希の所だ。
律も慌ててデスクを離れ、走ってジュリの後を追いかけた。
希が与えられている部屋の前まで来ると、ドアが開け放たれている為、ジュリの怒鳴り声が聞こえて来た。
「俺の妻と娘をどこへやった!!」
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