第5章

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画面には、お気に入りの春に咲く花のような、ヒラヒラのお洋服を着た女の子。 ジュリの娘のアーノルドが映り出した。 アーノルドは、車のシートの上で、怪我をしたり悲しんでいる様子もなく、家から持ってきた律が贈ったぬいぐるみを抱いて、ご機嫌だ。 「ねぇねぇ、アーちゃん。今ねぇ、アーちゃんの姿と声を映してるよ。お仕事頑張っているパパに、頑張ってって言ってあげて。後で見せてあげたら、パパすっごく喜ぶからさぁ」 「パパー、今アーちゃんね、希お兄ちゃんとママとお出かけするの!!ママはあっちの車に乗って行くんだって!」 あっちと言って、アーノルドは前を走っているであろう車を指差した。 「パパっ、お仕事大変だからいつもありがとうのプレゼント買いに行くのっ。あっ、今のは内緒だったっ!なんでもないっ」 両手で口を抑えて笑う。 「じゃあね、パパ!お仕事頑張ってねっ。大好きだよ!」 満面の笑顔で手を振る映像を最後に、画面は暗くなった。 「アーノルドっ…」 「あ、もう一回見たかった?」 希はアーノルドの映像が入った電話機をポケットにしまいながら、怒りで真っ赤な顔をしたジュリに、小馬鹿にした笑みを浮かべて、聞く。
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