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「てっ…めぇっ!俺の娘にっ、妻にっ、手を出しやがったらっ…!!」
虎が獲物に飛び掛かる勢いで希を押し倒し、床へと抑えつけ両手で首を絞め、
「殺す…」
と地鳴りのような声で放つ。
部屋を満たすジュリの殺気は、肌に痛いくらいだ。
「ジュ…リ…」
扉が音を立てて開き、雪崩れ込むように武器を持った男達が入ってきて、彼等の手によって、希に覆いかぶさって首を絞めていたジュリは、希の上から力任せに剥がされて、逆に床の上へと羽交い締めにされた。
ジュリは床に這いつくばってもなお、諦めた様子は微塵もなく、男達数名が押さえつけていなければ、拘束を解いてしまいそうな勢いで暴れている。
よく見れば、男達の中には見た事ある者と、そうでない者が居て、見た事ある者といっても同僚とかではなく、有名な権力者などだ。
「ゲホッ…っ…、妻と子が行方不明になったせいで、狂ったじゆりが上司である俺を殺そうとした。証拠はこの首に着いた指の跡と…」
『殺す…』
ポケットから取り出された電話機からは、先ほどのジュリの声。
「と、こんな所でどうだろう?部下ひとり、消すためのシナリオの触りとしては充分じゃないかなぁ」
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