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カオリカオルハナ
こういう時、どうしていればいいのだろう。
頭では分かっていたつもりだったけど。
実際にその時がやってくると、ちっともうまくできない。
「えっと・・・何か食べる?」
私の緊張した声にカオルが視線を上げる。
「・・・・・」
じっと静かに私の顔を見つめ、何か言葉を発しようと小さな口が少しだけ開いている。
「・・・・・まだ、お腹すいてない。」
「そっか。・・・じゃあ、お腹すいたら教えてね。」
「・・うん。」
小さな声だった。
ちゃんと耳をすましてあげないと聞き取れないくらいに。
「えっと、じゃあ・・・飲み物取って来るね。」
どう会話を続ければいいのかわからない私は、リビングのソファにカオルを残し、キッチンへと逃げ込む。
「・・・・早く、連絡こないかな。」
不安がため息となって出てくる。
開いた冷蔵庫に買い込んでおいたジュースのペットボトルが並ぶ。
オレンジ、りんご、ぶどう、カルピス・・・・
カオルはどれが好きなのだろう?
冷蔵庫の冷気にあたって、少しだけ気持ちを立て直した私は、再びカオルへ声をかける。キッチンからなので、先ほどよりも少しだけ声が大きくなる。
「カオル君、何がいい?」
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