カオリカオルハナ

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「えー、じゃあ、結局そのままなの?」  水原が口いっぱいにオムライスを頬張りながら言った。 「そうだけど。」  喉がつまらないか、こっちが心配になる。  私は麦茶の入ったコップを水原の前に置く。  コップの中の氷が小さな音を立てて揺れた。 「それって、ちょっと・・・・」  予想を裏切ることなく、水原が麦茶の入ったコップを掴んで一瞬にして飲み干した。 「・・・・大丈夫?」  空になったコップに再び麦茶を注ぎながら、目の前の水原の顔を覗き込む。  苦しそうにむせていた水原が、覗き込んだ私の顔を確かめると、表情を変えた。  あ、騙された。  そう思うと同時に大きな手が顔に触れていた。  ケチャップの味と麦茶の香りが唇に触れる。  両手に麦茶ポットを掴んだままの体勢で身動きが取れなくなった私は、早く終わらないかな、なんて思ってしまった。 「じゃあ、洗い物は俺がするわ。」  お皿を空にした水原が笑って立ち上がる。 「うん、ありがとう。」  本当は、自分でやったほうが早いし、キレイになる。  だけど、ここで断ったところで水原に押し切られるのは目に見えているので、素直にお礼を言う。些細な衝突なんて、避けるに越したことはない。     
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