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匡煌にプリントアウトしてもらった超音波の画像を
1人で見てはニヤついて……ふと気が付けば、
玄関から続く内廊下をパタパタとやってくる
スリッパの足音。
和巴は慌てて画像を胸元のポケットへしまった。
「―― だだいまぁ」
「お帰りなさい、禅さん」
「俺の留守中ちゃーんといい子にしてたか?」
「もちろんよ。ご飯はどうする?」
「う~ん、何か軽くでいいよ、お茶漬けとか」
「わかった、ちょっと待ってて」
和巴はキッチンへ。
禅はスーツのジャケットを脱いでネクタイを
緩めながらドカっと倒れ込むようソファーへ
座った。
鼻歌まじりに嬉々とした様子で調理する
和巴の姿を微笑ましく見つめる。
「……なぁ、何かええ事でもあったんか?」
「えっ、どーして?」
「ん、何ぞ今日はやけに楽しそうやから」
なかなか鋭い。
「(ΦωΦ)フフフ……さぁ、どうでしょう」
「あー? 何なんだよ」
「当ててみて」
和巴が運んできたお茶漬けを食べながらも
考えるが……。
「う~ん……あかん、降参や。教えて」
「ど~しよっかなぁ」
思わせぶりで焦らす。
禅は和巴をグイッと引き寄せ優しく抱きしめる。
「ほ~う、この俺様を焦らすたぁええ度胸しとるなぁ」
「(ΦωΦ)フフフ……」
「もうっ、何なんだよ」
和巴は背後から回されている禅の手を
そうっと自分のお腹の上へ導いた。
「!!……まさか」
恥じらいつつもしっかり頷く。
そして、あの超音波の画像を禅にも見せ。
「今、7週目くらいだって」
注! 妊娠周期は、
最後の生理が終わった日を妊娠ゼロ日として
そこから起算し”1週目、2週目 ――” と、
算出します。
「そっか……出来たか……」
「ん、もうっ、もう少し違った感想はないの?」
「ん~、それなりに覚悟はしてたつもりだったけど、
イザ自分の立場で見るとさすがにちっこいな」
「うん……ね、禅さん? うち ――」
言いかけた言葉は”シー”と口に当てられた
禅の指で遮られた。
「主治医は匡煌やろ。あいつ、私生活はかなりチャラい
けど、医師としての腕は俺が保証する。お前はハラの
子供の事だけ考えてりゃええ。わかったな?」
「うん」
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