始動!

3/13
前へ
/243ページ
次へ
  私は先輩に頼まれたコピーをしながら、   オフィスの一隅で生活安全課係長の山下から   日常業務等の説明を受けている、   今期入った新入署員達を見ていた。   明日への希望で胸いっぱいだってかぁ?   ”フフン、そのうちあんたらだって、現実の厳しさを    嫌ってほど思い知る時がくるのよ……”   はぁ~~っ……。   知らず知らずにため息も出てしまう。   ”ほんま、こんなんでええんかなぁ……” 「どうしたのぉ? ため息なんかついちゃって」   と、やってきたのは、私の指導係・西村はるかさん   階級は警部。   まだ勤続5年目ながら、   幹部さん達にまで一目置かれている凄い人。 「あ、はるかさん――」 「お茶、ごちそうさまね。やっぱかずちゃんが  淹れてくれるやつがイチバンだってみんな言ってるよ」   ”うわぁ、何気に嬉しいかも……” 「資料室のファイルも整理してくれたのね。  すごく使い易くなってた」   見てくれはる人はちゃんとおるんやぁ……。 「私でも少しはお役に立ててるんですね」 「何いってるの、同年代のスタッフの中でまともな  仕事出来るのあなたくらいじゃない。それに、  かずちゃんがいつも気難しいボスの相手してくれてる  から、私ら物凄く助かってるのよ」 「アハハハ~―― そうですかぁ、いやぁ……」   って、わたしゃ、人身御供かっ?!
/243ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1269人が本棚に入れています
本棚に追加