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私は先輩に頼まれたコピーをしながら、
オフィスの一隅で生活安全課係長の山下から
日常業務等の説明を受けている、
今期入った新入署員達を見ていた。
明日への希望で胸いっぱいだってかぁ?
”フフン、そのうちあんたらだって、現実の厳しさを
嫌ってほど思い知る時がくるのよ……”
はぁ~~っ……。
知らず知らずにため息も出てしまう。
”ほんま、こんなんでええんかなぁ……”
「どうしたのぉ? ため息なんかついちゃって」
と、やってきたのは、私の指導係・西村はるかさん
階級は警部。
まだ勤続5年目ながら、
幹部さん達にまで一目置かれている凄い人。
「あ、はるかさん――」
「お茶、ごちそうさまね。やっぱかずちゃんが
淹れてくれるやつがイチバンだってみんな言ってるよ」
”うわぁ、何気に嬉しいかも……”
「資料室のファイルも整理してくれたのね。
すごく使い易くなってた」
見てくれはる人はちゃんとおるんやぁ……。
「私でも少しはお役に立ててるんですね」
「何いってるの、同年代のスタッフの中でまともな
仕事出来るのあなたくらいじゃない。それに、
かずちゃんがいつも気難しいボスの相手してくれてる
から、私ら物凄く助かってるのよ」
「アハハハ~―― そうですかぁ、いやぁ……」
って、わたしゃ、人身御供かっ?!
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