今日という日

2/10
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
橋の下には、いくつもの線路が隣り合わせで伸びている。 交わる事もなく、ただ真っ直ぐに伸びたその線路の上を、電車がいくつも走り去って行く。 駅のホームには、スーツを着た男性や制服姿の学生、子供の手を引くお母さん、杖をつくお婆さん、それに買い物袋を持つ女性や旅行バッグを持つ若者がいる。 それぞれがそれぞれの人生の中で生き、家路への電車を待っている。 その光景を、私は何度も見ている。 二度と会う事もないであろう人達を、私は橋の上から見下ろしていた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!