今日という日

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その時、視線を感じてホームに目をやると、電車を待つ列の先頭にいたスーツ姿の男がこちらを見ていた。 私は、その男と目が合った気がした。 次の瞬間、男はホームから線路に飛び降りた。 ホームに入って来た電車が、急ブレーキをかけながら男の上を通り過ぎていく。 金属が削られる音と、女性の叫び声が響き渡った。 心臓の鼓動が高鳴った。 慌ただしくなる駅のホーム。 駅員は走り回り、ホームにいた客は電車の下を気にしている。 だが、遠くからサイレンが聞こえてくると、ホームにいた人達は駅員に促され去って行った。
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