23人が本棚に入れています
本棚に追加
第一話 ペペロンチーノ峯田 オークションにかけられるの巻
「ほんとうに、悪かったとは思ってるよ、ぼくだって。なんていうか、最低限の礼儀ってのがあるよね、こういうのって。でも、仕方がないじゃない。だいたい、ぼくは、生まれてこの方、そりゃあハーフだガイジンだって言われてきたけど、この顔でモテたことなんて一度だってなかったし、子どもの頃は妖怪たちをじろじろ見ちゃったけど、帯刀みたいにまとわりつかれることなんてなかったし、むしろ向こうがぼくを避けるんだもん。自分の方が変なんだって思うよね。今になって、お前の顔がひとを惑わしたから責任とれって怒られても困るよ……」
ペペロンチーノ峯田こと、本名峯田・ペペ・螢人は、拝むように頭の上で両手を合わせて、目の前に立つ浮葉に頭を下げていた。しかし、浮葉はその端正な顔を歪ませて苦々しい内心を隠そうともせず、腕を組んで時々ため息をついている。
「言い訳はそれだけか」
「うう……わかってるよ、浮葉にお願いしても仕方ないよね……」
「わかってるんじゃないか。それで、石川の爺さんが面白い提案をしてきたぞ」
「面白い?」
峯田は顔を上げると首を傾げた。その『提案』は、自分にとって全く面白くないということは容易に予想ができた。
最初のコメントを投稿しよう!