第一話 ペペロンチーノ峯田 オークションにかけられるの巻

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第一話 ペペロンチーノ峯田 オークションにかけられるの巻

「ほんとうに、悪かったとは思ってるよ、ぼくだって。なんていうか、最低限の礼儀ってのがあるよね、こういうのって。でも、仕方がないじゃない。だいたい、ぼくは、生まれてこの方、そりゃあハーフだガイジンだって言われてきたけど、この顔でモテたことなんて一度だってなかったし、子どもの頃は妖怪たちをじろじろ見ちゃったけど、帯刀みたいにまとわりつかれることなんてなかったし、むしろ向こうがぼくを避けるんだもん。自分の方が変なんだって思うよね。今になって、お前の顔がひとを惑わしたから責任とれって怒られても困るよ……」 ペペロンチーノ峯田こと、本名峯田・ペペ・螢人は、拝むように頭の上で両手を合わせて、目の前に立つ浮葉に頭を下げていた。しかし、浮葉はその端正な顔を歪ませて苦々しい内心を隠そうともせず、腕を組んで時々ため息をついている。 「言い訳はそれだけか」 「うう……わかってるよ、浮葉にお願いしても仕方ないよね……」 「わかってるんじゃないか。それで、石川の爺さんが面白い提案をしてきたぞ」 「面白い?」  峯田は顔を上げると首を傾げた。その『提案』は、自分にとって全く面白くないということは容易に予想ができた。     
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