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「来週の冥闇会の試合後に、パフォーマンスをするらしい。ペペロンチーノ峯田を一晩自由にできる権利をオークションにかけるそうだ」
「『そうだ』じゃないよー!」
峯田は頬を引きつらせながらソファに倒れ込んだ。
「なんだい、それ」
「その金でお前が壊した闘技場を直すそうだ」
「そうですか」
「安心しろ、蚊鳴屋も金を出すそうだ」
「浮葉、さっきから伝聞ばっかだね」
「俺に何とかできる問題じゃないからな」
「ごめんね」
「俺に謝っても何の解決もしないからやめておけ」
そう言って、彼は眼鏡をかけ直し峯田から目をそらした。石川氏はあくまで『提案』としたのだろうが、それを拒否する権利などこちらにないことは容易に想像ができる。峯田が壊した闘技場はランクAの陰陽師が数人がかりで質の良い結界を張ったという高級品で、ただ単に同じ石の床を用意すればいいというものではない。
「で、ぼくのスポンサーはいくらくらいなら出してくれるの?」
「せいぜいこれくらいだ」
浮葉は三本指を立てた。
「さん……じゅうまん?」
「三千円だ」
「あれっ、予想落札価格ってそんなに安いの? ぼくっていちおう処女なのに? 妖怪が見える珍しい人間だよ? しかもハーフだよ?」
「出しても三万かな。まあ、その場合お前の賞金から引くから」
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