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燃え盛る炎。辺り一面は、深夜にも関わらず昼間のように明るかった。
「中央三から指令へ。水源を確保。放水を開始します」
「指令、了解」
男の耳に飛び交う通信が入る。しかし、彼にはそれを気にしている余裕は無かった。
この火の海の中から、一人の男性を探し出す。それが彼、いや彼らに課された仕事だった。
大正時代に作られた、古い木造校舎。市の文化財となるも、昨日まで小学校として使われてきた。
現役で使用されている校舎では最古という事で、観光名所ともなっていた場所。しかし今は、彼ら消防士を苦しめる熱地獄と化していた。
木造の校舎は火の回りが早く、折からの強風もそれに輪をかけた。
スプリンクラーや防火扉等の施設も当然設置されておらず、炎の舌を遮る物は無かった。
「こちら菅野。要救助者を発見。これより脱出する」
「指令、了解。救急車を待機させている」
仕事は同僚が完遂してくれたようだ。男はほっとするが、すぐに気を引き閉める。
「こちら握野。脱出します」
もう、こんな地獄にいる必要はない。消防活動を統括する指令所に脱出することを報告し、出口に向かって進む。
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