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「おっ、悪野さん!」
「これは皆野さん。お疲れ様です」
都内某所にあるオフィス街。そこの端にある古い雑居ビル。
隣り合わせのビルから出てきた二人の若い男性は、キッチリとしたスーツを着こなしていた。
「いかがです、そこらで夕食など」
「そうですね。ご一緒しましょう」
彼等は公務員であるが、非常に自由な身の上であった。もっとも、彼らと立場を代わりたいと思う者は皆無であろう。
「対策室さんも進展無しですか」
「ええ。分析室さんもですか」
皆野正義(ミナノマサヨシ)は、警視庁から特別犯罪分析室へと配置された警察官。
悪野命(アクノミコト)は内閣府特別犯罪対策室へと配置された官僚であった。
我が物顔で破壊行為を繰り返すトゥルー・ヤポネに対し、政府は二つの組織を立ち上げた。
それが警視庁の特別犯罪分析室と内閣府の特別犯罪対策室である。
政府は年度代わりした一月前から正式に組織を立ち上げ、両組織で年間に延べ五百人を投入すると発表した。その人員が悪野命と皆野正義の二人である。
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