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美しき生き物
サイコパスは、劣等感を抱いている。
醜い外見も中身の無能さも、自分のすべてが嫌いだった。
「お前は出来損ないのクズだ!」「顔を見るだけでイライラする!」「勉強もできない運動もできない、あんたみたいなブスな子産まなきゃよかった」
サイコパスは、親に罵られて育てられた。
それは家だけでなく、学校という狭い世界の中でも同じだった。
みんなが私のことを馬鹿にする。
口をきいてくれないのは当たり前のことで、挨拶なんてものはされたこともない。
でもそれは仕方のないことだと思っていた。
陰でこそこそ悪口を言われていることを私は知っていたが、それは私が暗いくて落ちこぼれだし、みんなは間違っていない。
すべては自分の存在自体が悪いんだ……
そうやって自分に言い聞かせてきた。
学校にいる間は、みんなから病原菌でも見るような視線を浴びさせられ、家に帰れば親から虫けらのように扱われる。
私は何もすることなく、誰にも迷惑をかけることなく、だからといって誰かの役に立つわけでもなく、意味もなく一日一日を生きてきた。
私は何のために生きているんだろう……? その答えを出すヒントなんてどこにもなかった。
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