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『孤独』。その2文字が私のすべてであり、人生だった。
――彼女が私の目の前に現れるまでは。
サイコパスは、あの日を決して忘れない。
彼女は前触れもなく、私のいる暗闇の世界に手を伸ばしてきた。
彼女は私の目をしっかり見て、嫌な顔一つせず「おはよう」って声をかけてくれた。
突然の出来事に私はびっくりした。それと同時に、なんでこんな綺麗な子が私に話しかけてきたんだろうと疑心暗鬼になった。
何かの罰ゲームで私に話しかけてきたんじゃないか、そうとしか思えなかった。
私は彼女の目を見ることなく、「おはよう」って挨拶を返した。
そしたら彼女、ニコッと笑ってどこかへ行ってしまった。
それ以上何もなく、何だったんだろうという疑問だけが残り、そこからはいつもと同じ無意味な一日だった。
でも次の日、彼女はまた「おはよう」って声をかけてきた。
次の日もその次の日もまたその次の日も、彼女は私に微笑みかけてきた。
毎日毎日欠かすことなく、当たり前のように「おはよう」と。
ただ挨拶を交わすだけの一瞬の時間。
普通の人からしたらごく一般的な日常だけど、私には不思議で仕方なかった。
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