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「アレルギーって、秋花粉? 俺も、ブタクサとか目がかゆくなる」
「私のアレルギーは原因不明なんだ」
倉科の目がまんまるになる。
「え、病院でもわかんないの? それで、学校休むほど、ひどいのか? それってすっごく大変じゃんか!」
自分のことのように、うろたえた。随分、大げさ。
でも、ふりなんかじゃなく、本当に驚いているみたいだ。
かゆいのは、私なのに。
なんでこんなにちゃんと、受け止めてくれるんだろう。
ええー、ほんとかよ、と言い続ける倉科の姿を見て、彼にちゃんと説明しないのはフェアじゃない、という想いが沸き起こった。
「ごめん、倉科」
言おう。言ってあげなきゃいけない。
ふるえる声で、絞り出した。
「ほんとは、倉科のこと、嫌いなんかじゃない」
保育園の記憶から、さかのぼって語る私のはなしを、倉科は聞いてくれた。
アレルギーの原因が、周囲からの羨望や嫉妬であるという自分なりの考えも、つっかえながら話した。
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