【嫉妬アレルギー】

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 そんな他愛ない下校時間を過ごすうちに、私と倉科の共通点が見えてきた。  ウサギを飼ってたことがあり、いつかまた飼いたいと思っていること。  日本のアイドルより、海外のロックが好きなこと。  もちろん、違うことのほうが多い。  倉科は、食べ物をよく見もせずに頬ばって、どんなものでも、「うまい」と言う。  道に迷ったら、地図をじいーっと見て、道順をすっかり覚えてから歩き出す。  同じところと、違うところ。  ステンドグラスのように組み合わさって、倉科になる。  そんな風に掘り下げて、人と付き合ったことはなかった。  学校では相変わらず、私は隠れ蓑グループにいた。  倉科も、私のほうを極力見ないように気をつかってくれた。  木枯らしが吹き始めた頃、倉科がカーキ色の暖かそうなマフラーをして、待ち合わせ場所の公園に現れた。 「いい色だね、それ」  バス停までの道を歩きながら、なんとなく褒めた。  倉科は、一瞬、顔色を変え、 「ああ、これ」 「今日、寒いもんね。私もしてくればよかった」 「いや、やっぱ取る」  彼はするするとマフラーを外し、さっさとかばんに仕舞った。 「なんで? 寒いじゃん……」  言いかけたとき、倉科の足が止まった。  どうしたの?と視線の先を追う。  バス停に、一年生の女の子が立っていた。
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