【嫉妬アレルギー】

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 私は深く呼吸する。 「倉科。もう、アレルギー出ても関係ない」 「でも、苦しいんだろ?」 「ううん、もう大丈夫。ちょっと怖いけど、大丈夫。  いま、どこ? 倉科、会いたい」  そう言った途端、プツッ、と通話が切れた。  しんと静まり返った世界。何が起こったのかわからない。  混乱で頭がぐるぐるしてくる。どうしよう。かけなおそうか。  それとも、これって、拒否られたってこと?  するりとコンビニの自動ドアが開き、中から人が出てくる。 「じゃーん」  倉科だった。パーカーのポケットに手を突っ込んでいる。私は息を飲む。 「そこにいたの!」  思わず笑ってしまう。 「大丈夫なのか、アレルギー」  倉科は、唇を真一文字に結び、念押しする。 「うん」自分の嫉妬心に比べたら、ほかの人のなんて可愛いものだ。 「倉科。明日、一緒にお昼食べよう」 「おう」  倉科は、ポケットから缶コーヒーを取り出し、一本くれた。  じんわりと、温かさが手の中に広がる。  ずっと握っていると、熱さでちょっぴりだけ、手のひらがかゆくなる。 「楽しみだなあ。早く明日になんねーかな」  思わず空を仰ぐ。  すでに藍色の帳が降り、三日月が沈んでいくところだ。  むずがゆさが増す私の手を、倉科の手がすっぽりと包み込んだ。 (了)
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