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かきむしる手を押さえられ、軟膏を塗ってもらったが、治る気配は無く、
それどころか、喉の内側までもが腫れたようになり、
喘ぎながら涙を流して転げまわった。
先生たちは半狂乱で救急車を呼び、運ばれた先の病院で、告げられた。
原因不明のアナフィキラシーショック。
難しい言葉はわからなかったが、
「引き金となったアレルギー物質は、
食べ物でも、動植物の成分でもない。
衣類や持ち物の化学物質でもない。
なんだかよくわからない」
という医師の診断に、子どもながら「おいおい冗談じゃないよ」と
ツッコミをいれずにはいられなかった。
だって、次いつこんな七転八倒する目に遭うか、わからないのだ。
原因不明では、予防することができない。
その後も何度か、似たような症状に襲われ、やがてある共通点を発見した。
どうやら、注目されたり、特別扱いをされたときに、このアレルギー反応が現れる。
劇の主役に推薦されたとき。
ローカルテレビの取材でインタビューされたとき。
珍しい色のボールペンを買ってもらったとき。
かゆみの強さは、そのときどきで違うけれど、確信はだんだんと強まった。
これは、周囲の人間から受ける、羨望及び、嫉妬のアレルギーなんだと。
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