【嫉妬アレルギー】

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◇  科学実習室の扉をガラリと開けて、中へ飛び込む。  倉科の足音が、すぐ近くまで迫っていた。 「待てよ、貴田」  彼が言い終わる前に、扉を閉めた。  バシィン!  薬品棚の並ぶ狭い部屋の中、ちょっと驚くような大きな音が反響する。  続いて、トントンと倉科大樹が、外からノックする音。 「あーけーてー」  気にしちゃだめだ、と自分に言い聞かせ、壁際の流し台にお弁当を置き、  錆びたスツールを部屋の隅から取ってくる。  弁当箱を取り出し、ふたを開ける。  でも、食欲がわかない。  トントン、トントン。  ノックはやがて、諦めたように止んだ。
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