【嫉妬アレルギー】

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 私は一歩後ろに飛び退き、すぐさま扉を閉める。  ズバシィーン!  ……またしても、すごい音を立ててしまった。  けれど、彼を振り切らなければ、また嫉妬アレルギーで生き地獄を見ることになる。  それは避けたい。  授業をさぼってでも、彼を避けることにした。  チャイムが鳴り、ざわついていた校内に静寂が戻る。 「何やってんだ?」  スリッパの足音と同時に、教師の声がする。 「いや、あの」  と言い訳する倉科の声が遠ざかる。    それから数分、息を殺したのち廊下に出た。  そっと教室に戻る。教師からは軽い注意を受けただけで済んだ。  背中を丸めている倉科は前の方の席なので、顔は見えない。  なんとかなった、と胸をなでおろす。  ところが、翌日の清掃時間。  事件は起こった。
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