【嫉妬アレルギー】

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 私は、そつなく掃除をこなした後、  隠れ蓑としている目立たないグループのメンバーと下校前のおしゃべりをしていた。  穏やかでやさしい、書道部と美術部、図書委員の女の子たち。  漫画やアイドルの話をゆるっとしゃべって解散、というさっぱりした付き合いだ。 「じゃあまたね」  部活や委員会のある子たちを残し、私が教室を一歩出た、そのとき。  廊下にいた誰かに、右肩をぐいっとつかまれた。 「一緒に帰ろう」  倉科だった。ちょっと怒ったような表情で、 「な?」  と私の顔を覗き込む。 「ごめんなさい」  思い切り首を振った。出来ない。 「なんで?」  もう片方の肩も掴まれる。力が強くて逃げられない。
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