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集団異世界召喚異聞録
薄暗い地下室。鍾乳洞のように天井からは石が垂れている。その石から水滴が伝い落ち、真下にいる人々の頬を叩いた。
「う……」
一人、また一人と意識を取り戻し、朦朧とする意識の中周囲の様子をうかがう。何人かが目を覚まし起きあがると、互いの顔を見てから不安に染まる声を出した。
「ここはどこ?」
自分たちはなぜこんな場所に居るのだろう。ここは自分たちの居場所ではない。その声にはそんなニュアンスが含まれている。不安はやがて恐怖心へと変わり、か細かった声は叫び声となった。
「ねえ! みんな起きて! 起きてよ! ここはどこ! ねえったら!」
その声に今まで意識を失っていた者たちも徐々に意識を取り戻し、次第に自分たちがどういった状況に置かれているかを認識し始める。
静かだった地下室に混乱が満ちた頃、突如地面から青白い光が発生し、室内を淡く照らし出す。驚愕の声が収まると、いつの間にかそこには人が三人立っていた。
一人は白一色のローブに杖を、後の二人は剣を携えている。室内に居た者たちは、突然の闖入者に驚きはしたものの、その格好を見て逆に安堵した。
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