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「でも碁を打ってる時だけは
人が変わるんだ、俺にも容赦ないよ」
そんな俺の考えを見透かしたように
監督は付け加え、アハハと笑った。
「そうなんですか。
なんか色々大変そうですね」
「まぁ、今回は別の理由もあったし」
不意に顔が近づいて額にキスをされた。
「なっ!?」
「お前を紹介しておきたかったから、恋人だって」
カァァァと顔が一気に熱くなった。
「ダメ、だった?」
「…………ッ」
ソレ……わざわざ聞く?
第三者、しかも相手の身内に
堂々と言ってくれたとか
メチャクチャ嬉しいに決まってるでしょう。
でも、きっと言えばすぐ調子に乗るから
迂闊に返事できないだけで……。
「……でもなさそうだな」
「!?」
正面切って片肘ついたまま満面の笑みを
いつもと雰囲気がまるで違う妙に爽やかな
感じでやられたら何か気恥ずかしくなって
思わず俯いてしまった。
計算か?計算なのか?
いや……そんな器用なこと
出来る人だっけ?この人。
「岩倉ってホント可愛いなぁ」
(く……悔しいっ)
この人、多分わかってて聞いてる。
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