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悲しいかな言い返せるだけの経験が
こっちにはないのを良いことに
俺がどんな反応するか楽しんでる余裕が
垣間見えて余計に腹立たしい。
ムカつく、マジでムカつく……。
「手!重いんでどけて下さい」
「やーい、照れてるぅ」
「こ、子供ですか!?アンタは!」
抱き寄せられて、そういう素直じゃないとこが
またイイんだよなぁと笑いながら言われても
全然嬉しくなんてないですよ。
「あ、の~~~~
お茶、冷めるけど。
どうしたらいい?」
「え?うわぁ、ちょ!」
襖の開いた隙間から監督のお父さんが
チラチラ様子見をしているのが見えて、
俺が咄嗟に監督から離れようとしたのに
逆に強く抱きしめられた。
「父さん、悪いんですがご覧のとおり
取り込み中なのでそこに置いててくれませんか?
後で居間に顔を出します」
「了解!待ってるから~邪魔したね!」
と、ピシャリと襖が閉じられ
ドタドタと廊下を走る音が聞こえた。
焦った……実に心臓に悪い。
いつから居たんだろうか?
確認するのすっごく怖いんだけど。
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