タイトルは面倒なのでつけません。

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「……すみませんでした」 「だから謝るなって。 ホントは俺も酔っていたから 内容はあんま覚えてないんだ」 「…………。」 そんなに酔う程辛かったって事? 俺が俯いたまま黙り込んでしまうと 監督は何やらゴソゴソと取り出してきて 目の前にドンとデジカメを置いた。 「見る?昨日の結婚式の分が入ってる。 俺のレアな正装姿もどっかにあるから探してみてよ。 じゃ俺、コーヒー入れ直してくる、 ソレゆっくり見て感想聞かせて」 「いや、俺は――!」 良いですって断ろうと思ったのに 監督は返事もきかずふすまを閉めて 出て行ってしまった。 「…………。」 恐る恐るデジカメを手に取ってみるけど それに目をやる勇気がない。 見たくない。 その人が俺に少しでも似ていたらどうしよう。 ……代わりだって認めたくない。 「…………。」 ダメだ!バカ自分の目で確かめろよ。 似ていたからどうだっていうんだ、俺は俺だろ。 しばらくの葛藤の末、 覚悟を決めてボタンへと手を伸ばした。
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