憎しみは人を盲目にする。―オスカーワイルド

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なるほど。こいつは詐欺じゃ無さそうだ。しかしまだ念入りに見ていく必要がある。満男は下に向かってスクロールしていくと、2ページ目に繋がるリンクをクリックした。満男の手はふと止まった。 こんな素敵な人が出会い系を? 写真の中の女は、肩くらいまでの黒髪のボブで、あどけない笑顔でピースをしている。もろ満男のドストライクだった。 嘘だろ?やっぱりサクラなんだろう。そうに違いない。満男はプロフィールを確認してみた。名前はミク、歳は30代。女の写真をクリックしてみると、ミクという女の自己紹介文が表示された。 東京住みで、会って色々お話できる人募集!楽しくお話出来る人がいいです。どうぞよろしくお願いします。文章から丁寧で快活そうな性格が滲み出ていた。 自己紹介文の下にメール送信というリンクがある。なるほど、気に入ったらここで直ぐに送信できるのか。もしもサクラだったとしたら、金をむしり取られるのか?もしも詐欺だとしたら……俺は絶対にやり取りしないぞ。だが、試してみるのもいいだろう。満男は意を決してメール送信の欄に、メッセージを書き込んだ。こんばんは、いきなりのメールごめんなさい。僕は都内住みのミツオと申します。年齢は40歳です。もし良ければメールしませんか? 40代とは、10歳もサバを読んだもんだが、恐らくバレはしないに違いない。もしもバレた時は謝ればいい。大体、女だってサバを読んでるんだ。俺の母親も、前の職場の同僚なんて20歳もサバを読んでいた。 しばらく経って、自分のメールボックス内を見てみた。なんと、ミクから返信が来ているではないか。思わず心臓が口から飛び出そうになった。メールを開く前、何故か急に自分の身じろぎが気になった。面会でもないというのに。 メールを開くと、簡素だが愛想のいい返事が返ってきていた。 こんばんは、初めまして。メールをありがとうございます。もちろん仲良くして下さい。ミツオさんも都内住みなんですね。 写真の中の黒髪の子が、人懐っこい笑顔で話しかけてくるのを想像した。満男はすぐに返信を打った。返事がもらえて嬉しいです。そうです、僕も都内なんですよ。だからミクさんの住んでいるところと近かったら会えますね。
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