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満男はパソコンを開くと、一週間放置していたあのサイトへ繋いだ。相変わらず、目に優しくない刺々しいピンク色が出迎えた。自分のメールボックスを開く。22時50分にミクから返信が来ていた。
返事が遅れてごめんなさい。仕事が少し忙しくて。はい、今度是非一緒にお会いしましょう!あ、でも恋人とかいたら悪いですよね。先走っちゃってごめんなさい……。
満男は即座に返信を打った。大丈夫だよ。忙しいなら仕方ないよ。実は、あのメール引かれてなかったか心配せてたんだ。でも良かった。恋人はいないから全然大丈夫だよ。ミクさんは恋人いるの?
送信。見返したら誤字があった事に気づいたが、満男は気にならなかった。すぐにまたミクからメールが届く。
そう言ってもらえると助かります。ありがとうございます。私も今はフリーです。お揃いですね。
さっきまでの孤独が嘘のように和らいでいた。満男は今度は余裕を持って返信を打った。
ああ、お揃いだね。嬉しいよ。ならミクさんが良ければ、今週末に会えないかな?一緒にお茶でもしよう。時間は12時頃に東京駅でどうかな?
2分経った頃、ミクから返信が届いた。
もちろんいいですよ。ちょうど暇してたんです(笑)ミツオさんに会えるの楽しみにしてますね。満男は今度は小さくガッツポーズをした。そして、それじゃあ週末楽しみにしてるよ。とメールを返してパソコンを閉じた。心が暖かく、思わず、はあと息が漏れた。達成感と高揚感に、満男は鼻歌を歌った。爽やかな好感度ナンバーワン女優が出てる漂白剤のCMソングだ。
ほら見ろ俺はやれば出来る男なんだ。満男は自分が誇らしく思えた。こんな夜なら、家から15分もするコンビニまで歩いても遠くないだろう。満男はカーキ色のナイロンジャンパーを着て、出かけることにした。外は息が白く濁る寒さだったが、満男の頭には週末の事でいっぱいだった。
缶ビールを買おう。今日はお祝いだ。週末は決めて行くぞ。服でも買った方がいいだろうか。最初の印象が肝心なんだ。それにしても良くやったぞ、俺。
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