第3章 嫉妬じゃない、悔しいのよ

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「高杉がそう感じるのなら、どこか気づかないうちに、倉本を意識していたのかもしれない。」 私はカッとなって、部長の頬を打った。 茫然と立ち尽くす部長は、ずっと下を向いている。 仕事だったら、絶対に許されないと思う。 それなのに、部長は一言も私を責めない。 「ううっ……」 声を出しながら、床に崩れ落ちた。 私が最初から体だけの関係を望んだのは、誰も私を愛してくれないから。 最初から気持ちがないと、分かっているのなら、相手にいざそう言われても、傷つかないと思ったから。 でも、ダメだったみたい。 やっぱりどうしても、私の方が傷つく。 それは私自身が誰よりも、愛されたいと願っているからだ。
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