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「でもオレは麗陽になりたい」
「退屈な体育の時間を合法的にサボタージュしてぇの?」
「確かに其れはあるけど」
麗陽は何時如何なる時にも友人に囲まれている。楽しそうにしている。
オレに其れが出来ないのは自業自得。そうしてるつもりがなくても、結局何処かでオレはオレに出来る事を出来ない周囲を見下している。
そんなオレから友達が離れていくなんて自明の理だし、離れていかないのはオレにコンプレックスを抱える必要の無い麗陽くらいだ。
「麗陽の周囲に人が居るのが羨ましいよ」
「だったらお前も少しは愛想よく振舞えば良いんじゃねぇの?」
「其れは無理」
「我が儘だな、月夜は」
麗陽は他に人に囲まれているのに、オレには麗陽だけ。麗陽には他に友人と呼べる存在が居る。其れこそごまんと。
狡いとは思わない。其れは麗陽の性分が成した事で、麗陽もきっと努力しているから。其れでもつい、羨んでしまう。
「オレはアンタになりたいよ、麗陽」
「其れ程羨む身の上でもねぇぞ?」
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