ストーカー

2/2
前へ
/11ページ
次へ
ライブ帰り、駅から帰り道がずっと同じ女性が前を歩いていたんだ。 結構早い段階で、俺ストーカーみたいだなとは思ってて、面白がってあえて抜かず別々に別れるまで後ろを付いて行く事にしたんだけど、これが思っていた以上に方向が同じで、流石に俺も気不味くなっていた。 女性もたまにチラチラこっちを見たりするもんだから、急にギアチェンジして追い越したら脅かしちゃうと思い、諦めて別れるまでそのまま歩いていたんだ。 少ししたら女性は左に曲がった。俺は真っ直ぐ。 やっと別れられる、この変な気持ちから解放されると思いながら、女性が曲がった方を見ると、女性が結構良い位置まで足を上げて全力で走ってるではないか。それを見たら俺の脳にある曲が流れ出した。 あぶない刑事の挿入歌、柴田恭兵が歌うランニングショットが。知らない方はYouTubeかなんかで観て聴いて下さい。 俺は、行くぜ!と言った後全力で女性を追った。 タカって言ったりもした。俺はSOCCERをやっていたおかげもあり、あっという間に女性に追いついた。 そして俺は女性を追い越した。女性を抜き去り俺は何とも言えない優越感に浸っていた。 例えるなら、100メートル走を1位で駆け抜け、その余韻に浸りながらトラックを一周しているような。俺はギリギリ自分の名誉を守ったんだ。 俺はストーカーではない。ストライカーだ!
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加