未来から

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教室の中は相変わらずカツカツとチョークの音が響いていた。 世界史の授業は淡々と続いていた。 人類が争いを好み悲劇を繰り返してきた事を暗記するこの時代の平和さに少し戸惑いを感じていた。 この任務は予想以上に辛いものとなろうとしていた。 そう、私はデータの塊で生身でなく恋など出来る訳もなかった。 私は無機質な自宅の部屋でベッドに横になりながらCDというレトロな規格で音楽を聴いていた。CDは唯一の娯楽として教授に頼んどいてもらった物だった。聴いていたのはビートルズ。しかし、このバンドは何時の時代でもそれなりに人気があるらしい。 世界の終わった後の自分が聴くと何とも言えない気持ちになる。 データ化された世界では愛とか平和なんて言葉は無いと思うかもしれないが、人の業なのかデータ化された世界ですら争いが絶えない。 時々、思う私は本当に世界を救いに来たのだろうかと。 そんな思いが頭の中をめぐっていると、私は美詠の透き通った瞳を思い出す。 確かにデータ化された世界には存在しない瞳の美しさだ。 『八番目の魔女か……』
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