未来から

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―――― 無機質な部屋にかかる音楽が止まっている。 どうやら、少し寝ていたらしい。 見慣れない天井は今日の出来事がただの夢だったのかと思わせる物であった。 少し夜風当たろう、私はベランダに出てみる。少し月が見えたなら思いつつ、外に出るがもちろん、そう都合よく月は出ていなかった。 都会の濁った空に星が幾つか見えた。夜風を感じながら想いにふける。せめて今だけは……。 しかし、『月が綺麗ですね』は今考えても恥ずかしいかな。 翌朝 日当たりの悪い部屋に朝が来る。 少し睡眠不足であった。 お湯を沸かしブラックコーヒーを飲むが少し熱かった。 朝食も軽めに取り。朝の支度をする。 鏡を見るとやけに疲れた表情であった。 しかし、調査対象である美詠と仲良くなれたのは好都合であった。 そもそもこの時代にデータ化された人などいるのだろうか? あまりに平和な日常がそれを忘れさせる。 私はコーヒーをもう一杯飲み部屋を出る。 朝の教室で美詠に話かける。 「おはよう」 「…………」 美詠はこちらを向き眠そうにしている。 私と同様に少しなれなれしかったかな。 どうしたものかと考えていると 「ごめん、ぼーっとしていた」 「大丈夫?」 「少し寝不足で……」 日射しが差し込む教室で美詠は確かに眠そうにしていた。 「私も寝不足なんだよ」 「同じだね」 和やかな空気が辺りを包む平和とはこの事だろう。 私の未来の世界は無機質で誰もが死んだ魚の様な目をしていた。 人類のデータ化は確かに世界の終わりを感じさせるものであった。 こんな何気ない日常は存在しなかった。
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