未来から

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変えなければ……終わりを迎え世界をこんなありふれた平和な世界を失わせる訳にはいかないそんな事を思いながら話を続ける。 「私の家庭は母子家庭だから家事をしなければいけないのよ。お母さんはバリバリキャリアウーマンなの」 仕事ができる母親が美詠にとって自慢らしい。 「何の仕事をされているの?」 「ゲーム会社でプロジェクトマネージャーをしているわ、あの大人気ゲーム『プロジェクト・コマンド』を作ったのもお母さんなの。今は新しいゲームを作っているみたいだけどね」 ゲーム会社か……。 『プロジェクト・コマンド』は『オメガクライシス』の初期感染の疑いがもたれているゲームの一つ、やはり美詠が『八番目の魔女』と呼ばれる手掛かりでありそうである。 そもそも『オメガクライシス』は携帯のメールアドレス帳を媒体にして感染して厄介なことに感染した携帯から『闇の花びら』と呼ばれるモノが携帯から吹き出し空気感染して世界がデータ化してしまったのである。 初期に何故、多くの携帯に感染したのかは『プロジェクト・コマンド』が怪しいとされ、さらにその原因が『八番目の魔女』と呼ばれる美詠である。 美詠の母親が『プロジェクト・コマンド』に関係しているなら点と点が線で繋がった事になる。 「どうしたの?深刻な顔をして」 「イヤ、なんでもない。少し寝不足で」 「そう、元気出してね」 美詠は微笑んでくれた。 やはり美詠への感染が世界の終わりの引きがねとなっている様だ、どうすれば美読への感染を防げるのだろう?それ以上にこの笑顔を守りたかった。 それから放課後、美詠と少し話そうとしてみた。 何か公私混同してした。 私は任務でこの過去の世界に来ているはずなのに、美詠の魅力に魅かれていた。 そして、簡単な雑談がはじまる。 話からして美詠はあまり体が強く無いらしい。 それでも仕事で忙しい母親の分まで家事に追われているようだ。 「あ、そろそろ、帰らないと」 「うん、また、明日……」 美詠は時計を見て呟くと帰って行った。 どうやら幸せな時間は終わりのようだ。 胸がチクチクする。この気持ちが寂しい? そして教室で一人になると立ち入り禁止の屋上に行き月を探してみる。曇り空に月など出ている訳もなく少し心が痛んだ。 私はデータの塊なのに、この気持ちは何? そう、本で読んだ事のある寂しいと言う気持ちだろう。
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