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周囲の安全を再確認し、長楽館の防犯センサーもつけ、深津への報告といった全てを終わらせて、塔太郎は長楽館を後にした。
正門から一歩、足を出す。
公園内では、ライトアップされている桜の近くで学生らしき人たちが酒を酌み交わしていて、楽しそうである。
深津には直帰と言われているから自分もどこかで呑もうかと思ったが、やめておいた。
厄介な事件が、ようやく片付いたのは良いものの。塔太郎の心は、実は秘かに乱れっぱなしだった。
(何が、計画通りやねん。全然ちゃうやんけ……)
一人、呆れたように笑ってみる。
大蛇と対峙するにあたって、当初の計画を狂わせたのは他ならぬ自分だったからだ。
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