0人が本棚に入れています
本棚に追加
導入部
目が覚めたら、屋外階段の踊り場だった。
メガネのずれたぼやけた視界だが、目の前に真っ黒い「モノ」がいることには気づけた。
「起きたか、あんちゃん。あんた階段上から落ちたんだよ。まだ寿命じゃないから連れてかなかったけどな」
ドクロ面の黒ローブは、胡散臭い声でそういった
その時から、僕の世界には「変なもの」たちが登場するようになった。
路地裏からぬうっと。電柱からバサバサ。物陰からケタケタ。
机の下に潜んだり、テレビを逆さに眺めたり、ショーウインドウに入り込んだり。
人間の話に耳を傾けたり、見えやしないのに追いかけたり、思いつきでいたずらしたり。
不気味で、不思議で、不格好で。生きることにつかれた、この世に生きる人間と「変なもの」たちの織りなす現代ファンタジー。
最初のコメントを投稿しよう!