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「みんな……」
また涙があふれた。無理して平気な声をつくった。
「……馬鹿すぎるだろ」
クニが叫んだ。
「馬鹿はおまえだ。真っ先に突っこんでいったのは、おまえだろ。聞いてたぞ、ジョージはぼくの親友ですってな」
サイコが冷静にいった。
「あなたの機体はあと90秒で耐熱性能を超えるわ。わたしたちといっしょに避難しましょう」
テルがいう。
「嫌だというなら、おまえの機体の足を全部もって運んでいく。抵抗しても無駄だからな」
タツオは炎の壁を見た。樹々が倒れていく。火災の勢いはさらに増しているようだ。
「わかった。1班は全員でこの火災から非難する。帰投後はすぐに菱川浄児救出チームの一員として奮闘してくれ」
ジョージの1機を欠いた全6機の抗12型6足歩行戦闘ロボットは、全速で樹海の火災の縁から離脱していった。火と煙のなかを緑の甲虫が駆けていく。タツオは操縦をオートパイロットにまかせ、ひたすらジョージの無事を祈り続けた。
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