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「オイル漏れが発生しないように厳重に守られていたはずなのに……」
「今回は実弾訓練だ。危険のすべてを予測することなど不可能だ」
タツオは上官と話しながら、呂2号を呼びだす緊急通信のボタンを叩き続けていた。もう20回は打っているけれど、まったく返信はない。もう兄と話している時間はなかった。
「避難行動に移ります」
作戦本部との通信を叩き切り、サイコに叫んだ。
「ただ今より作戦の指揮権を呂1号に譲渡する。サイコ、うちの班をまとめて、樹海の外に避難させてくれ」
「訓練は中止ね。了解。タツオ、あなたはどうするの」
「ぼくは森林火災を見にいく。ジョージが巻きこまれたみたいだ」
サイコの冷静な声が聞こえた。
「わたしたちもいこうか」
「いや、命令違反はぼくだけでいい。それにひとりのほうが早い。ジョージの無事を祈ってくれ」
「了解、タツオも無茶しないで」
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