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そのときみしりとタツオの抗12号が金属的な軋(きし)みをあげた。もう耐熱限界にきているのか。コックピットの気温は47℃。タツオはシャワーを浴びたように汗に濡れている。
右腕を強くつかまれている感覚フィードバックがあった。誰かがタツオが操縦する抗12の右第一肢をつかんだのだ。
「タツオ、もう避難しなくちゃ駄目だよ」
落ち着きと悲哀を感じさせるサイコの声だった。続いて左手をつかまれた。
「あとはレスキューにまかせろ」
今度はテルだった。タツオは前方視界を後方に切り替えた。暗い緑の迷彩色に塗られた5台の抗12型が猛烈な煙に巻かれ勢ぞろいしていた。この炎のなか自身の危険をかえりみずに、タツオのために駆けつけてくれたのだ。
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