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今日もユリは青い顔をして、学校へとやって来た。
髪をしっかりとセットしていないのか、寝癖がついている。服も以前と比べてダラしがない感じだ。寝不足なのか、目元にはクマが出来ている。
私が必死に笑いをこらえていると、コウが近づいてきた。私が声をかけるよりも先に口を開く。
「おい、このところ調子悪そうだが大丈夫か?もしかして無理してるんじゃ・・・」
それは私にではなく、隣に座っているユリに向かってだった。
不快感が押し寄せて来る。
コウはユリを優先した。
つまり、コウは私ではなく、ユリの隣にいることを選んだということ…。
「大丈夫です。心配かけてすみません」
隣から聞こえて来た、小バエの羽音みたいな声に思わず吐きそうになる。
ねぇ、コウ。私の心配もしてよ。私今、こんなに気分悪いんだよ?
少しでも元気なことをアピールしたいのか、ユリは蚊の鳴くような声で笑っている。
すぐ近くにいるのに、コウは私を無視してユリと話している。こんな孤独な思いは初めてだった。 自分が惨めだった。
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