サプライズ

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 コウはもう、私の傍にいてくれない。  考えただけで涙が出そうになる。しかし、それをグッとこらえる。  しばらく毛布に顔を埋めて気持ちを落ち着かせると、スマホを取り出しメッセージを打つ。もちろんコウ宛てにだ。 『今度の日曜、一緒に出かけない?』  せめて、その日だけはコウと一緒に過ごしたいから。  今度の日曜、つまり私の誕生日。  コウは私の誕生日なんて覚えてないだろうけど・・・。  送信するとすぐに返信が来た。そこには簡潔にただ一言、こう書かれていた。 『いいよ』  今度ばかりは、涙をこらえることが出来なかった。  日曜日。この日は快晴だった。  いつも以上のおしゃれをして、近場の公園でコウと合流した。 「今日はちょっと行きたいところがあるんだ」 「えっ、どこどこ?」  興味を持った私はコウに尋ねるが教えてくれない。 「行ってからのお楽しみ」  そう言って歩き出そうとしたコウだが、すぐに立ち止まって尻ポケットからスマホを取り出す。着信でもあったのだろうか?  コウは画面を見ると、一言断ってから電話に出た。なぜか私から距離をとって。  そして通話が終わったかと思うと、少しあせった様子で駆け寄ってきた。 「わるい、急用だ。でも、すぐに戻るから。ここ、ここで待っててくれ」  それだけ言うと、どこかへ行ってしまった。                
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