一時間あたり雨量は200ミリを超えるでしょう

1/10
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

一時間あたり雨量は200ミリを超えるでしょう

「豪雨、竜巻、雷などに注意してください」 何度同じこと言ってるんだよ。 気を付けろって言ってもなあ。 注意してたら降らなくなったりするのか? 雷の避け方とかあるのか? 落ちんなよ! とか叫ぶと雷が止まるのか? 外はもう暗い。 避難、とも考えたけれど「不要不急の外出は辞めましょう」とも言ってたし。 暗くなってからの非難は危険です。 とも言ってたし。 今日は両親は旅行で居ない。運がよかったね。今頃温泉だ。 ま、その分ゲーム出来るってわけだ。 僕はお気に入りのFPSを起動すると、画面に向かった。 山奥だけどゲーム環境は悪くない。 固定回線だ。光だ。 天気になんか左右されない。 狙いは正確無比。動きに無駄はない。今度のゲーム大会に出る予定だってある。 「俺の視界に入った奴は全員死ぬんだ」 とか、言って見た。 (僕はゲームでは「俺」だ) 「ふざけんなよてめえ殺す」 ボイスチャットで誰かがイキり帰してきたけど、関係ない。 殺すも何もこれ殺し合いですから。 脅しにも何にもならない。 わざと一方行に逃げてるフリをして。はい背後に回る。 さよなら。 そいつから最新の武器を拾う。 「いいの持ってるのに腕が悪いのかなー」 「死ね! 死ね!」 「語彙少ないねー」 (僕も大したことはない) 「おう、死ね死ね言ってるザコ。落ちろよ」 最近この人のハンドル見るなあ。シジェ。わりといい名前。 「うっせえてめえに関係ねえだろ」 「よしハンドル覚えた。見かけ次第絶対に殺すリストに入れるぞ。いいんだな」 ケンカはよくないですね。 僕は傍観してた。 「お前が死ね死ね言ってた相手な、教えてやるけどてめえが100回やっても勝てないぞ」 んなことないっすよ。 そろそろやりますか。 「じゃ1vs1で5回戦。砂(スナイパー)のみな。3回勝ちでその勝負取ったってことでやろうぜ。ユーゴくん」 「うん。退屈だもんね。こんなの」 「てめ絶対ぶっ殺すからな」 「俺がユーゴには手出させねえからよ。おい。ユーゴも見かけたらこいつ二度とコントローラー握る気にならないように潰しといてくれよ」 雨脚が酷くなってきている。 シジェと二人っきりになってから「雨が酷くてさあ。壁ミシミシ言ってるんだよね」なんて愚痴を言った。 「大丈夫かよ。勝負延期してもいいぞ」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!