憂鬱なある日

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『好き』って言葉は、多様なジャンルで用いられる。  もちろん、人に対する『好き』が多くを占めるだろう。  なら、その『好き』を細分化してみたら、どうだろう。  好意、尊敬、憧れ、あとは・・・。  ハジメと映画をみる約束をしていた。  のに、どっかの女が飛び込みで営業にきたせいで、ハジメはそっちを選ぶことになった。  彼と長年親交がある者としたら、柔和な表情を浮かべて、 「まあ、映画はまた今度だね」  と、へらへら手を振って余裕までみせれる。  だが、実際は烈火の怒りが沸々と蒸気を上げているが、彼の知らない方面に流した。 「本当にごめん! 映画は前々から約束してたから本当に申し訳ない!」  手を合わせて、何度も謝り続ける彼をみると、怒りが自然と引いていくのが分かった。 「次はこっちの約束を優先しろよ。カヨちゃんによろしく」  親友の背中を軽く叩いて、親友の初めて出来た彼女の名を、内心苦々しく口にした。  いつか別れるなら、それでいい。  俺たちの友情を壊す真似をしたら、承知しないだけだ。
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