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一話「初めて会った日」
『勉強はゲームという名の遊びである』
私はこの言葉が嫌いだ。なぜなら……。
そう、アレと初めて本格的に会ったのはゲームセンターに私が一人で入った時のことだった。その時の私はゲームセンターなんて行ったこともなかった。それどころかゲームなんて馬鹿な連中が必死になってこなしていくおもちゃだと思っていた。そんな私がここにいる理由はただ一つ、父親とけんかをして気晴らしをしたかったからである。ただそれだけであった。
「ふむふむ。黄緑色のワンピースドレスにナイスくびれ。それを覆い包むかのような白いガーディガン。そして黒のポーチ。ほえー」
ユーフォーキャッチャーをしている私に後ろから声がかかる。
(うぅ、怪しい男にいやらしい目で見られてるんだ。家出なんかするから)
心の中でそう思ってしまった。しかしその思いとは裏腹にだんだん近づいてくる後ろの人。私は恐怖に耐えられずに悲鳴をあげてしまった。咄嗟に後ろの人が私の口を押える。そして私にゆっくり耳打ちをしながら頭をやさしく撫でてくる。
「ごめんごめん。落ち着いて。周りに悲鳴が響かないように口押さえてるだけだから」
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